臍帯血保管をお願いした

以前、NIPT(出生前遺伝学的検査)を受けたことについて書きました。

産まれてくる子に病気や障害があったらどうしよう…と心配するのはどの親も同じだと思います。もちろん我が家も然り。どこまで心配し、どこまで対策を打てば良いのか…と考え始めたらキリがありませんが、もし対策できるのであればしておきたいものです。

今回は、脳性麻痺の心配と、その治療に使える(かもしれない)臍帯血のお話です。

出産を間近に控え、子育てに関連したさまざまな書類を各方面からいただきます。その中に、脳性麻痺の恐ろしさについて書かれたものがありました。脳性麻痺とは、妊娠中や出産直後に脳神経細胞が損傷することで、運動機能や知能、感覚などに障害が起こることを言います。例えば、体の一部を自由に動かせないとか、知能の発達が遅れるといった症状が出るようです。

私たち夫婦は、幸いにして五体満足で産まれ、体のどの機能も欠くことなくここまで生きてきました。できれば、産まれてくる子にも同じように、自由に走り回ったり、笑ったり、泣いたり、話したりしてほしいと思っています。ただ、万が一にも脳性麻痺を持ってしまったら…それを治す手立てがあるのであれば、すがりたいのが親というものだと思います。

いただいた書類には、脳性麻痺の恐ろしさとともに、その治療に有用と言われる「臍帯血」のことが書かれていました。臍帯血は「へその緒」から採れる血液のことで、出産の時にしか手に入らない貴重なものです。それを保管しておくことで、将来脳性麻痺が生じた際の治療に利用できるそうなのです。

高知大学のサイトによると、脳性麻痺などの脳神経疾患の治療に臍帯血の中の「幹細胞」が役に立つ場合があるそうです。

2006年、Duke大学のKurtzberg 研究室で、出生時に凍結保存した自己臍帯血の中に含まれる幹細胞を輸血することで脳性麻痺を機能改善するという画期的な治療法が開発されました。

どの程度まで機能が改善するのかは不明ですが、自己臍帯血が脳性麻痺の治療に有用ということがわかります。ここで重要なのは、自己臍帯血が、という点です。要するに、他人の臍帯血では治療ができないということです。

臍帯血バンクというものがあります。これはその名の通り、臍帯血を預けておく場所のことを言うのですが、公的臍帯血バンクと民間臍帯血バンクがあることに注意が必要です。

公的臍帯血バンクは、臍帯血を白血病などの治療に利用するためのものです。脳性麻痺を治療するためのものではありません。また、公的臍帯血バンクは不特定多数の人の臍帯血を集め、第三者の病気の治療のために保管しておくものです。自分の病気の治療に使えるわけではありません。

そのため、「脳性麻痺の発症に備えて、臍帯血を公的臍帯血バンクに保管しておく」というのは意味のないことと言えます。自分の病気の治療に利用するためには、民間臍帯血バンクに保管する必要があります。

二種類の臍帯血バンク

●公的臍帯血バンク

不特定多数の人の臍帯血を収集し、白血病等の血液の疾患の治療に役立てる。自分の臍帯血を自分の病気に利用できるわけではない。費用はかからない。

●民間臍帯血バンク

将来の自分の病気を治療するために臍帯血を保管できる。比較的高い費用がかかる。

ステムセル研究所は1999年に設立された民間の臍帯血バンクで、国内での保管シェア率99.9%をもっているようです。民間のバンクでは、事実上ここ一択になりそうです。保管の設備や環境などについては実際に電話で確認しましたが、10年間は臍帯血を劣化させずに保管できる技術は持っているとのことで、この点を信頼して預けることにしました。

保管費用は10年で275,000円でした(現在はもう少し金額が上がっているようです)。決して安い金額ではありませんでしたが、万が一のリスクに備えた保険として投じることにしました。あのときお金を出していれば…という後悔はしたくなかったのです。

なお、同社サイトに掲載されている海外の臨床研究の例を見ると、脳性麻痺のほか、自閉症や心疾患などの治療にも臍帯血が利用できる可能性があるようです。臍帯血の利用はまだ研究段階のものが多く、今後ますます活用の場が広がっていくのかもしれません。

そもそも、臍帯血による脳性麻痺治療を行っている病院が非常に限られているようで、多くの場合は海外の病院に行く必要があるそうです。また、現時点では臨床試験への協力などのような形で治療を受けることになるらしく、そういった試験の被験者を募集しているタイミングでなければ治療を受けられないのだと思います。

脳性麻痺等の症状が現れたから、すぐにそれを使って治療してもらおう、というわけには行かないようです。

とはいえ、臍帯血を保管していなければ、治療への道すら開けません。治療のハードルは高そうですが、まずはスタートラインに立つために、民間臍帯血バンクへの保管を決めました。

NIPTもそうでしたが、臍帯血保管も「何もなければお金が無駄になる」類の出費です。先述の通り、保険と同じようなものです。我が家ではNIPTと臍帯血保管に50万円近くのお金を投じました。これらのお金が全て無駄金になってくれることを日々祈っています。

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